世界の輪郭に溶ける

社会とうまく馴染める距離を探しています

社会人になって1年が経った

1年目から年収が僕の3倍もある外銀で働く超バリキャリウーマンや、 誰もが憧れる外資系の戦略系のコンサルや超有名IT企業で活躍するエリートサラリーマン、投資家から数千万の投資を受ける起業家たちがいる。

17卒の同期や大学からの友人は、年収1200万円でHRテックのCOOでオファーを受けたり、webマーケターとして1000万のオファーを受けていたりする。それ自体が当たり前であるかのように。そして一人はちょうど昨日会社を辞めた。億単位の投資を受けるとかなんとかで、新しく会社を始めるそうだ。

18卒の同期は東大で物理の研究して表彰されていたり、東北大でNLPの博士だったり、MENSAの会員でスマドラ中毒だったり(それを優秀と言っていいのかわからないが、少なくとも彼の影響で脳の健康を意識し出したのは事実だ)

社会人になって、彼らのようなきらびやかな経歴を持つ人たちと出会い、仲良くなる機会が増えた。いずれも僕が出くわすことのなかった世界に住む人々だ。彼らは人生をフルスロットルで謳歌しようとしている。少なくとも僕からはそう見えている。

 

 

 

社会人になって1年が経ったということは、大学を卒業してから1年が経ったということだ。僕に限らず誰しもが大学卒業後1年間は少なくとも激動の時間を過ごしているのだろうと思う。大学を中退してからの1年間もまた、激動の時間を過ごすことになるのだろう。


特に変わったことを一つあげるのはとても難しい。あまりにたくさんの出来事がありすぎたからかもしれないし、心の変化があったからかもしれない。 

なるべく多くの人を対象にこの文章を書きたいと思っているのだけど、今回はどちらかというと大学時代の後輩たちに向けて書いていこうと思う。最近になって、僕たちが現役だった頃の話がどうやら伝説の代として有名になっているという噂を、人づてに聞くことが多くなってきたのだ。それ自体は喜ばしいことなのだけど、別に僕自身たいそれたことを成し遂げたつもりはないし、他方で、僕がまだ社会にでて活躍していないことに申し訳なさを感じているため、「尖り散らしてブンブンしてたりゅーいちさんの社会人ライフ」をそろそろ誤解なく伝える時分なのかもしれない。


目的から言えば、僕が今の会社に入った一番の理由は「大資本パンチを打つことができるから」だ。結論で言えば、「1年目で打つことはできなかった」ということになる。

僕は今の時流を「大企業に有利な時代」と読んでいた。日本で言えば、アベノミクスに始まる金融政策によって資本力のある企業は内部留保を貯めやすくなっていたし、そのお金を使って投資活動を活発化していくことができる。銀行はマイナス金利のためにお金を貸したくて仕方がない状況だった。これは何も銀行に限ったことではなくスタートアップ界隈にも言えることだ。現に今はエンジェルの貸し手が増えている。ただし、動かせる資本力と人材力の総量でいえば、仮にスタートアップが先行者優位を築こうとしても大企業が後発でブチ抜けてしまうもしくは買収できてしまう。それが大企業に有利な理由だなと。というわけで、今国内投資家たちが何を考えて動いているかでいえば、「大企業が簡単には真似できない領域=そこに参入すると既存売上が毀損するリスクがあるため容易に意思決定できない領域で専門技術者に大型投資する」ということになる。既存事業モデルをディスラプトする技術優位を生み出すことはindeedの事例からいって、高火力というもんじゃない。「求職アグリゲーションモデルのじげんがなぜindeedを生み出せなかったのか」という問いは「求職領域のKSFの読み取り(原稿量×原稿表出性能)と戦術としてのロングテール支配」という各論を極限まで高めなかったことなんじゃなかろうかと。話はそれてしまったけど。

 

うちの会社に関して言えば、僕の読みはおおよそ間違ってはいなかったが、視界が悪すぎたということを告白しないといけない。簡単に言えば「国内SBUの成長率108%をする国内新規市場はもはやほぼ存在しない」ことに加え、「3000億の投資資金力を国内事業開発に投資するよりも、海外企業の買収をしたほうがROIがよほど良い」ことが理由となる。弊ホールディングス経営陣の関心ごとはもっぱら「欧米機関投資家へのプレゼンスをどうやって高めていくか」に尽きるし、グローバルでの注目度を高めることが重要で、そのためには「2020年までにHRで世界1をとるための1000億規模M&A」が手っ取り早い。

なので、僕が今活躍できていない理由は(大前提として見てる視座が高すぎることに加えて)「国内市場でバリュエーション300億規模に成長する市場を選定し、初手から10億レベルの投資決裁を承認してもらうだけの能力がない」以上だ。

 

というわけで、僕は「そりゃそうだよね」とつぶやきながら、「どう考えても技術力によってしか社会は進歩せず、しかも競合優位は生まれないのだから、自分が技術知見がないことがボトルネックになってしまってはいけないのだ」という観点から「まあ今はひたすらベーススキルとネットビジネスに携わっているのだからネットスキルをひとまず磨いておこうか」と決めるのだった。当然、ネットビジネスはGAFAプラットフォーム上での戦いを余儀なくされている以上、「GAFA上で秀逸なビジネスモデル構築する難しさ×真似されやすさ=市場が成熟した」ということになるが。

 

技術の優位性が重要になるのはレッドオーシャン市場においてと言って良いだろう。
ブルーオーシャン市場において技術優位はさほど重要な論点じゃない。ブルーオーシャンの時点で「自分たちよりもその市場領域における知見を持っているプレイヤーが存在しない」からなので、若手であればあるほど「成長×成功角度の高いブルーオーシャン市場を発明して、秀逸なビジネスモデルと馬力で急成長を遂げる」ことが重要になる。重要になるとは言ったものの、新市場創出のためには誰よりも新市場に対してオタッキーな知見が必要になるため、ブルーオーシャン戦略は逆説的に、技術優位であるのだ。そのため、「若い研究者に億単位のお金を渡してC向けプロダクト開発をやってもらって、ビジネスに関してはインキュベートする」が今も始まっているけど、2020年にかけてトレンドになるだろう。

ことExitゴールに関して言えば、「レガシー領域でインバウンドのような新市場創出」もしくは「レガシー領域のITディスラプト」が主流で、バリュエーション30億ならベットが妥当なのだろう。

 

持続可能性と利益率の高いビジネスモデルが事業成長率のKSFであることは間違いなくて、そのためには市場選定が重要になるが、それにもまして僕が重視しているのは採用力をいかに高めるかだと思う。今の会社に入ったもう一つの理由は、優秀な同期や先輩後輩がいることで、それ自体はとんでもない価値になっていると僕は思う。特に古澤のような人材を見てると、「技術に明るい人材には機会が浴びるように降ってくる」ことをまざまざと突きつけられるのだ。17卒の新人成果発表は相変わらずデータサイエンティストの独壇場で、僕のひもじいITスキルをみて愕然とすることも一つの成長として受け止めている。


一方、若手のスタートアップ村を見ていると、鬼の首をとったかのように大企業ディスをしている光景が頻繁に見受けられる。僕個人の意見だけで言えば、優秀な人材を獲得したかったらまず間違いなく大企業出身の優秀な人材を獲得することに注力すべきで、彼らの心情を察するべきと考えている。
というのも、いけてるスタートアップのボードはベンチャーや大企業でぶいぶい言わせてたおっさんオールスターズで構成されていて、初手から高い成長率で成長して一気に上場するケースが多く、そこと自分たちがどう戦うかを考えると「まあ結構大変だよね」という話になる。そこと人材の取り合いをして勝てる理由がなければならない。

若手起業家でメガベンチャーまで行った企業は数えるほどしかないが、「スティーブ・ジョブズビルゲイツ、イーロンマスクやザッカーバーグ」を題材に学生起業を煽ることで「なんか自分もいけんじゃないか」って気持ちがしてくる。根拠のない自信はとても重要だが、これは確率論と因果関係の話ではないかと思う。今をきらめくSHOWROOMの前田さんだって、人生の勝算を緻密に計算する人だし、睡眠時間3時間で血反吐吐きながら仕事するやべえ人だ(D社でインターンしていた時に聞いた話だから本当かどうかわからんけど)

なので、よくある「大企業か、スタートアップか」みたいな不毛な議論もしくは採用イベントには参加せず、粛々とプロダクト開発をするのが僕は良いのだろうなという風に思う。この心情はおそらく「大企業に就職しなければわからなかったこと」という意味では、とても良い恩恵を受けている。

採用力が自分の能力や実績に紐づいているのであれば、今の「なんかちょっと小賢しいことを言ってるイキった新人」をいち早く卒業し、優秀なエンジニアやデータサイエンティストたちが「こいつと一緒に働きたい」と思ってもらえるように努力し続けなければならないというのが、僕が入社する前から今日に到るまで、ずっと大切にしてきた価値観だ。当然彼らがいかにすごいかを理解するためには自分も専門分野を知らなければならないし、彼らには持っていない強みを発揮していかなければならない。


その意味でこの一年間をスキルベースで振り返ると、自分の確たる強みがどこにあるかは相対的に理解できたのかもしれない。部で40人以上が参加した2日間の経営シミュレーション研修(孫正義が好きなやつ)で役員やGMを差し置いてぶっちぎり優勝を果たしたことで「市場特性をいち早く読み、どういう戦いになるかを想定し、その上でどうすれば勝てるかを考えて大胆に実行するのが得意っぽい」って言えるきっかけになった。弊HDボードレイヤーと比較したら新人に毛が生えたようなもんだけど(というより僕は新人に毛が生えた程度だ)

一方、新人が参加する3ヶ月の開発研修では自分が思い描く品質のサービスを作り込むことができず軽くパニックを起こしたりと、散々な結果だった。

とはいえJavaの基本的な開発の流れは抑えることができたし、フロントもサーバサイドもエンハンスにおける要件定義くらいなら問題なくこなせるようになったと思う。
ディレクションも現場の開発メンバーに頼りつつも、気合いでなんとかなるだろう。ただ、ゼロからPMをやれと言われたら「ウッ」ってなるのでまだまだ力不足だと思う。
エンジニアになる気があるにしてもないにしても、テックキャンプでRailsの研修を受けた手応えで言えば、JavaでなければそれなりのQCDで作れるようになったのかもしれない。研修では自分の作りたいものを優先してしまいやんなきゃなことを後回しにする習性があり、それじゃ多分うまくいかないだろうってなってからスケジュール管理に厳しくなった。
JSはそこそこ苦手意識があるし、フロントは思っているよりも奥が深い。データの子達がReactを使った実装をやってる中で「数行のJSが動いたっしゃ」とか「モーダルの実装コピペしたの動かした」とかその程度しかできなかった。JSの実装をあまりリッチにやれなかったのは正直残念なところなので、UXの人であればフロント実装もそれなりにできるようになったほうがよさみではある。なにより優秀なwebサーバサイドエンジニアにフロントを書かせては勿体無いという気持ちが強い。とはいえフロントはフロントでプロフェッショナルがいるのだから、デザインから企画まで一気通貫して見れる小宮みたいなやつに任せるべきだ。

インフラやアーキに関しては無知もいいところだろう。もし自分が意思決定をしていく立場であれば、アプリケーションに明るいこともさることながら、インフラや環境構築もカバーできていた方がいいことは確かだろう。

 

グロースにおいてはどうだっただろうか。
集客の研修ではリスティング予算を持ち、手動で運用するという機会があったので、考え方みたいなのは理解できたかもしれない。webマーケティングのケーパは無料集客にしろ有料集客にしろ、「どんな施策があって、チャネルの特性はどうで、最適に運用するにはどうしたら良いか」を具体的に言えるレベルにはなっていない。それでも考え方としてはUXと似た部分を感じているため、「やれって言われたら気合いでなんとかやれる」くらいなら大丈夫だと思う。弊社はどちらかというと代理店とのコミュニケーションとモニタリングがクソ重要で、後者は分析力が問われる。
Adobe Analyticsはもはや定常業務で触らない日がないくらい使っているので手慣れた感がすごい。今自分が挑戦しているお題が「サイト全体を俯瞰した上でデバイス比較から白地を発見し、打ち手方針に繋げる」というもので、それ自体難度が高いため、相当力が付いたんじゃないかと思う。しかもこのお題目ではどうしても流入に着目せざるを得ないため、UXに閉じずに集客に染み出そうとしていることはいいことだ。

アウトプット自体もそこそこ筋の良いものが出ているような気がするし、方針自体も間違っていないと思う。ただ提案資料として、「複数シナリオが明瞭に描かれた上で定量目標に対して必要工数と開発方針を打ち立ててロードマップを引き、GMや部長レイヤーと承認を取る」にはあと3ヶ月くらいかかりそうな印象がある。

 

UXは僕の職務範囲なので、それなりに成長したと思う。
サービスデザインと言うとケーパがかなり広い。プランナーの枠でいえば企画者としてもっとも重要なのは分析力になるので、サイト課題を発掘する作業はこなれてきた気がする。とは言え担当サービスがそこそこツルツルに磨きこまれている以上、「BigQuery触って事業ログまでちゃんと見に行くくらい深い分析をする」か、「新しいことでROI的にもいけてるやつオラる」のどちらかあるいは両方の力が必要になっている。SQL自体は研修でも触れたので、去年ほど抵抗がないのが幸いしているのと、「3ヶ月の研修から帰ってきたら同期がBQ使ってオラついてた」ことへの焦燥感みたいなのがほどよくブレンドされて「やんないとアレだわ」感が湧いている。
とは言え今の担当サービスのチームは非常に恵まれた環境だ。成金出身のパートナーさんからはいぶし銀な分析スキルを盗み、チンピラなのに開発の課題を解決して成果を出すクソ優秀なパートナーさんと壁打ちさせてもらうことができるという謎環境。来週からはもっと身を引き締めて修行に取り組んでいきたい。



WF設計自体はスケッチを使うことが多かったが、慣れ親しんているパワポでサクッとやっちゃうことが多いので、デザインをゼロベースで作ること自体にはまだまだ成長の余地があると言えそうだ。そこまでやりたいかどうかは事業の状況にもよるのだけど、せっかくだからXDも使ってみて「リリースに耐えられるレベルでビジュアルデザインを作れる」くらいにはパワーアップしたい。
定性リサーチに対して自分が担当する業務というものはないが、積極的にUTに参加させてもらうことによって「だいたいこんな感じで設計してモニタリングすれば良いのか」を知る機会をいただけているのがありがたい。実際にやってみないことには肌感覚もわからないので、新機能検討の案件があればその業務フローを一旦担当してみるくらいの機会を作ってみたい。


僕がUXをやっていてものすごく感じたのは、「UIUXで競合優位を確立するのは難しい。であれば二択で、[真似されにくい技術優位を確立する]か[開発からビジネスに染み出した動きをする] ということだ。事業にクリティカルな貢献をするにはまだまだできないと行けないことがあるだろうし、その機会を任されるだけのクレジットもない。クレジットとか政治とか、ダークサイドスキルはあまり好まないけど、「スキルがないからやらないこととスキルがあった上でやらないこと」は天と地ほど違うと思うので、頑張らないといけない。



 

 

 

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この一年間の中でもとりわけ京都ブログが話題になったが、あれは実は各社の新事業立案制度にエントリーしていた企画を辞退した時の話。その後も5つ起案した企画が全滅したのもあり、「何かを変えないとこのままではまずい」と考えるきっかけになった。そっから時間の使い方を本格的にハックし、集中力を高めるための食事・運動・睡眠の管理に徹底し始めるようになった。おかげでタスク処理速度は上がったし、筋トレを週に6回することによって「いざとなればワンパン」が口癖になり、凶暴性が増した。

 


そのほかで言えば、
ファイナンスとか事業とかそういうのは業務外でオラついてるのと、
教養的な部分も着々と見えてきている部分が増えてるのはいいことだなと。
同期や友人と壁打ちして「どうやったら勝てるか」を四六時中シミュレーションしてるのはいいことだと思うし、そういう時間の使い方は嫌いじゃない。

 

ただ、そろそろ本格的に内に引きこもってスクワットしてるだけじゃダメだな〜みたいなことも感じている。
先日インフラ系企業に就職した大学の友人と一晩飲み明かした時(自分はアルコール摂取しないようにしてるのでお茶だったけど)に日本の伝統的な会社の実情をいろいろ教えてもらって「いかに自分が無知であったか」を知る機会になったのは本当に楽しい経験だった。

とまあ自分の一年間でできるようになったことや感じたことをつらつらと振り返ってみたが、既存のネットスキルを身につけることはもはやベーススキルでしかなく、そこに専門性を築くのではなく、「未知の領域だがしかし社会実装に近い成長産業」に築くのがおそらく重要で、その大局観を磨くことがもっと重要だ。

 

自分の能力不足で後輩たちが喜ぶような派手な成果を出すまでに至っていないことは自分にとってひどく苦しいことだし、申し訳なく思う。
あいだを担いでる同期が一人いるのだけど、そいつが「お前が本当に勝ち馬か見極めるから来い」と言われて四柱推命の占い師さんに占ってもらった。彼がいうには「2018年と2019年の2年はこの10年で一番しんどいから現状維持で行きな。勉強の機会をいっぱい作るといい」らしいので、今は一旦自分の実力を養う期間にしようと思う。

 

目標を定め出したのもちょうど最近で、大まかな方針だけ決めて、あとはそこに向けて足りないものを集める作業をしていくことになる。僕は行動先行型の人間じゃないから、周りの優秀な同期や先輩がブイブイ言わせてるようなことはできないだろう。「用意周到な準備によって大胆に行動する」タイプだと信じて、力を蓄えたい。奨学金の返還もあるし。

 

ぶっちゃけて言えば、いきなりAirメイト作っちゃう会社の先輩とか、自分が実現したかった事業が僕と同じ9293世代の某AIヘッドハンティングサービス立ち上げてオラる人たちと比べるとまったくもって嫌になるなっていう気持ちしかしてなくて、毎日indeedの創業からスケールまでをシミュレーションして「やはり天才か・・・」ってなって落ち込んでいる。ただ、そういうのも含めて刺激的な生活を送れているのかもしれない。