世界の輪郭に溶ける

社会とうまく馴染める距離を探しています

売上・無議決権株・事業構想

立法府の長もなかなかに大変だけど、会社の長というのも誰よりも市場と向き合い続けないといけないわけで、大変だ。

その市場の捉え方と、動き方、うねり方、タイミング、原理原則、etc.etc...

 

 

進捗報告を書いていこうと思う。

前回ブログ時との差分でいうと、かなり大きな変化は、売上構成比率だろうか。

特にこの8月に入って、自身の意思決定においてコペルニクス的転回が起きたのが、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)だった。
ぶっちゃけて言えばアカウンティングをしっかり勉強していればそんなことは初歩の初歩っていう話なんだけど、なかなかに軽視されまくってるから、なぜかコンサルが暴利振るってバリューアップしているらしいということも本日のnewだった。



いろんな観点であんまり書きたくないんだけど、このタイミングで気づいていたということを残しておくと、後世にいい影響があるんじゃないかと思うので、書く。

 

人材事業を始めることで、一番学びになったのはキャッシュフローと向き合うということだった。次に結構いい感じになったのが、市場動向の整理。事業性質もあるが、業界トレンドをマクロに抑えないと課題特定ができないっていう状況だったから、(内部要因?外部要因?っていうのが区別できずに内部改善を繰り返すと外部要因の課題を置き去りにキャッシュ溶ける)その思考プロセスを挟まないとダメだったというのも結構いい感じに仕上がったポイントのように思う。

このあたりのことは創業初期ではまるで気づいていなかったし、2020年前後のスタートアップはもっぱら「大きく調達して、赤字を垂れ流す」のが主流だったので(僕の認識ではそう見えてる)、キャッシュフローを声高に叫んでいるVCは全然いないし、「そんなことすんな」というのが本音だろうから。シリーズA以降はユニット成立せいってなるんだろうけど、BCになってくるともう後戻りできないみたいな。

僕たちは逆張りとして(というよりも原則として)、キャッシュエンジンを作りたかったから、人材から入った。
だけど、「キャッシュフローが重要」と言っておきながら、その真髄をまるで理解していなかった。今でもおそらくキャッシュフローを磨きこむという点で、経営上重要な変数の前後関係を連結させるまでに自分の脳内が至っていないので、今後、やりながら学んでいくことにはなるのだろう。

何を理解していなかったのか、キャッシュフローの観点と市場動向の二つを書いていく。

エージェントモデルは成果報酬なので、着手してから実際に売上が着金されるまでに、大抵4~6ヶ月かかる、というのが相場だ。
なんかこの時点で説明が終了しているように思うんだけど、要するに
「お金を投下してからそのお金が回収されるまでに、少なくとも4ヶ月はかかる」
ということになる。
となったときに、
「投下してからキャッシュインするまでの期間」をどう短くしていくかというのがとても重要なのだが、
これも人材業の宿命、「膨大な変数による不確実性」「フロービジネス」によって、
安定的な拡大ができない。つまり、「売上が1000万円上がる月」もあれば「売上が0の月」もあるといったことが起こりかねない。
とにかく予実管理がむずい。自分も実務に入りまくってるし。

じゃあそれをどう解決するか、となったときに「行動数をひたすら上げていく」というソリューションになりやすい。そうすると1人あたりのアポ数だったり、なんやかんやをゴリゴリ回していくのが最強、という結論にすぐ行き着き、人件費もどう抑えるかみたいな力学になり、そうすると人を長く雇用し続けるのが難しくなり、
事業拡大において慢性的な人手不足になり、そこで天井。オシマイ。

人材紹介事業はそういったメカニズムで「10人以下の小規模事業」もしくは「100人以下の中小企業」のサイズで膠着する。売上サイズとしては単独で2億〜10億といったところなんじゃないか。

 

ここを突破するには結局想起を取らないとだよねっていうことになり、そうすると
リクルート・マイナビ・doda・エン・CDC とマス広告で殴り合うことになり、
マーケットシェアを按分する形になるが、そんな闘い方はできるわけないよねっていうことで、結局大手の総取りマーケットは覆らないと。

例外的にブチ抜くのがエスエムエスのモデルで、業界特化してCRM基盤整えるともう剥がれないみたいな感じになって、キャッシュカウの完成です、みたいな。んでそっから経営プラットフォームに大きくして海外みていればいったんはちゅいんちゅいん伸びる。


この成立条件についてはだいぶ整理した。
労働人口数×有効求人倍率×事業所数 の最大値がでかいところはそれ相応のサイズにまではいく。その順で考えると介護と看護はまじでスイートスポット捉えまくったよねっていう気持ち。

そこまでいったらじゃああとは利益率を上げて給与あげればいいんだけど、そのスキームを組んでしまうと業界に人材を横流しし続ける死の商人みたいな感じになるので、エージェント一方ヨシになって、嫌われて、どうなんだろうね、みたいな。結局剥がせないよねってなってんのかもしれないけど。

 

プラス、ここは自分の能力不足だったというか、6月にはすでに気づいていたんだけど、その遅効性を読み間違えたところがあると思う。景気変動による採用コストアロケーションの変動。
エージェントの成功報酬単価>求人広告の採用単価
の時に媒体経由で採用するっていう力学が働くのかどうかでいうと、「12月くらいまではいけんじゃないか」って思ってたら「思ってたよりもすぐにリプレイスされた」

という感じだった。

求人広告はスケールメリットがある限りにおいて採用単価が下がるから、1~2名採用くらいだったら内部コストとの兼ね合いでうまくいくんじゃないかとかいろいろ考えたりしたんだけどダメだったのと(厳密にいうとここにはまだ兆しがある)
結局求人があっても他のエージェントもその求人に群がっているので、結局しんどいみたいな。

 

 

キャッシュフローについてはあえてわかりにくく書いているけど、
資本回転数を通期で見た時の単月FCFをどの程度再投資に回すの?っていうバランスと、その投下した投資費用の回収までのサイクルをどう構築するの?
FCFはCCCをどう-n日に生み出していくかで、再投資した費用と回収までの期間が±0に近づけば近くほど、あとは再投資費用が売上に変換される倍率xが高ければ勝ちパターンに入るよねということを考えています。

 

これをめちゃくちゃきれいに構築しているのが僕はアマゾンなんだと思う。だから赤字だろうが資金調達したお金の全てを投資に回すことができるっていう、勝ちパターン。これも結局長期負債の返済期限を長く持って、その期間内までに利息込みで回収可能なビジネスモデルかどうかだけ見極めていれば、銀行も株主もいくらでも出しますよねっていう。。。
このバランスが崩れない限りアマゾンの株価は上がり続けるので、僕は1000万くらいもってたらアマゾンの株が欲しいです。(ウォーレンバフェットはコーラとかアップルとかが好きだけど)

 

結局CCCのバランスはそのビジネスの希少性と競合性によって決まるので、プラットフォーマーであればあるほど-nになるし、競合性が高ければ+nになる。

 

と、いうわけで、マーケコンサルに注力していく方針になりそう。

 

-nが構築できる限りにおいて、再投資費用はそこに投下され続けるべきなんだけど、
投資費用が採用とかになってくるとその見通しが怪しくなってくる。
アップセル・クロスセルをし続ける限りにおいては伸び続けるが、その投資効率が
マーケ<エージェント に転換する分岐点があって、DNAのような螺旋で資本運動を繰り返していくことが重要。なので採用活動もCCC+60日を切るのかどうかとか+120日なのかとか、このあたりの計算で決めていくことになると思う。

 

当然CCCが+60日以内にできるビジネスを構築していくことも重要。通期の資本回転数って製造とかだと0.7~2回って感じでしかも在庫持つからきれいにいかなくて。無形商材故に4回転5回転できるみたいな感じにできたほうが良いなと。
一方でSaaSの場合はこのCCCのサイクルがめちゃくちゃ長いので、かなり将来価値からDCF的にやるやらを決めないといけないというので、本業にするの怖すぎない?という気持ち。
ぶっちゃけフロー→ストックのビジネス転換をしたMSとかAppleとかadobeとかに勝てるわけなくって、まずフローでしっかりサイズを大きくして、売上高大きくしてからストックにするっていうのが僕は大事だと思うな〜という。。例外的に言えば、エクイティファイナンスを最大値にしてマーケット独占して、認知を撮り続ければ勝てるっていうストーリー以外はきつそう。故にスピードが最重要なんだけど、スピードを出したかったらPRをしないといけなくて、そうすると独占しているっていうことが検知されて競合が入ってくるし、採用してもなんか思ったよりスピードでないしで、絶対こんなきれいなシナリオにならなくて、故に参入障壁をステルスで築いて「側だけ真似しても全然太刀打ちできないから撤退する」というフォーメーションを初期構築しておこうねって気持ち。

 

結構やばいこと言えるようになってきたと思うんだけど、さらにやばいことを言おうと思う。

 

自分の普通株式は会社に譲渡しようと思っている。
議決権株と普通株を分けていくという方向性。

僕は資本主義の格差問題については結構第一人者なんじゃないかってくらい向き合ってきた自信があって(言い過ぎ)

その根本的な結論は相続と能力格差と運っていう。
んで今の資本主義はピケティのいう通り、能力格差によって格差が拡大している。

そこで僕が思ったのは、本来の能力格差の倍率以上の格差が生まれているんじゃないかということ。その大部分を占めるのが創業者のキャピタルゲイン。
おそらくほとんどのお金持ちランキングは、創業者の株式を含めた資産価値で計上されていて、(絶対的な確率で某家がトップで、あくまでそれは市場に流通している資産価値だけで計上した場合なんだけど)

もうちょっと現実的な話をすれば、法人と個人の格差とも言えるような気がするわけだけど、僕が言いたいのは「この方法で持続可能な法人作ったら概念統合を実現できるんじゃないか」と思っているということだ。

 

つまり僕の再出発の最大テーマは2つで
「資本主義と共産主義の概念的な統合」
「私有財産に対する欲望の否定」
この二つを解決する枠組みがこうやって実現できるんじゃないかと僕は思う。


結局なんでその問いに向き合い続けないといけないかっていうと、「インパクトを出すには資本規模が必要」ということが最低要件だからだ。

 

僕は社会のアンチテーゼとして常に生き続けるんだと思う。それはあらゆる人々にとって「無視できない存在」になる。僕や会社の存在自体が自己向き合いを強要してくる嫌なやつなのだ。

 

議決権株と普通株を分けている事例についていったん調べると、実現しているのはgoogleくらいで、そのgoogleも株主から訴訟されているという始末だった。
片手間で調べているので、もしかしたら他の事例もあるかもしれないし、そのあたりはよくわかんないけど難しいかもしれない。(上場しなきゃ話は別なんだけど)


でも金融系CVCとかだったら、会社の支配権に対して興味がないとかそういうことにもならんか?という気持ちがあり (今後想定するビジネス如何では敵対的買収に対するリスクに備えて議決権株はマジョリティを持たないとみたいなこともあるだろうし)

 

 

本当はもう一つ、とっておきの言いたいことがあるんだけど、この話はしないでおこうと思う。

 

 

さて、最後に、今なんとなくこうしていくのがいいんじゃないかという事業の枠組みについて話そうと思う。

人材紹介業はそのビジネスの成熟と過当競争により、ストレッチオペレーションによる労働者からの搾取によってビジネスを成立すると伸びるという勝ちパターンになってきてしまった。

自社のV&Mやカルチャーを考えると、この競争に乗っかると「何のためにやっているのか?」という問いに負けてしまう。
となった時に、このオペレーションでは回らない、新規性や競争優位を確立しないといけない。


かつ、お金の流れを見渡していくと、既存産業よりも新規産業に流れていくのが見て取れる。この川の流れているところでビジネスをしていくのは原則的に重要だ。

そのため、僕たちは事業の一つの柱として「マーケと採用とその他のアセットを駆使して、どんな事業も伸ばせる会社」になりたいと思う。

 

経営における重要なバジェットは採用とマーケティングである。

景気変動によって、投資回収までのリードタイムが長い採用よりも売上に直結するマーケとであれば、常にマーケティングバジェットが先行して市場に流れることになる。

 

この後続関係を捉えて、マーケの支援をしながら事業拡大し、不足した採用を補填していくという、ベンチャーのアーセナルになっていきたい。

それによって経済促進ができるのであれば、全部やればいい。

 

ゆくゆくのモデルがもしかしたら派遣に近くなるかもしれないし、コンサルの組織体制に近づいていくかもしれないし、そこはよくわからんのだけど、
この形態を志向し続ける限り、組織作りと所属理由が何にもまして重要だ。
故に僕はキャピタルゲインを諦めようと思う。

僕は僕のために働いて欲しくないからだ。

 

結果として探索行動をとったときにこういう結論になったのだけど、エージェントビジネスを諦めたわけでは決してなくて、「景気変動に大きく影響するビジネスは後回しにする」ということだと思う。主幹事業は、僕は人材であって欲しいと思うし。

 

当然、そのお手伝いに成功した時にできることは無数にあるので、
その構想については、次の機会にしようと思う。