世界の輪郭に溶ける

社会とうまく馴染める距離を探しています

3期目上半期の振り返り

 

「いやてか何しにこんな田舎まできたの?w
 ほかに予定があって、そのついでにきたとかじゃないの?どうせ笑」

 

「いえ、この予定のためだけに朝イチで来ました。提案もなんにも持ってきてないです。挨拶をしにきました。元リクのよしみで、可愛がってもらいたくてきました」

 

「だっはっはっはっはwwwもういいよ、もう全部予算つけちゃおうよ笑
 しっかしえげつないことを考えているね。君たちみたいなのがいるから、世の中の中小企業は倒産しちゃうんだよ?こんなの、だれも受注しないでしょ笑」

 

「ええっと。。。」といって、微笑んだ。岩槻さんは相変わらず爆笑している。


「ちがうんです!これは、営業活動で試行錯誤していく過程で、これが最も喜ばれる形だってわかったので、このビジネスモデルになったんです!我々に目先の利益はでませんから、中長期にわたって関係構築をしようとした結果、こういうプランニングになりました」

 

「まあ、中小企業はね。。」

 

 

6月は出張続きだ。たくさんの得るものがあった。これからの展望も、今までの試行錯誤も、きついこともあった。今の自分がどう感じていたのかは残しておきたいと思った。

 

1月から6月まで、決して順調とは言えなかった。経営は、半年前の意思決定が、1年前の意思決定が、2年前の意思決定が、現在の結果に繋がってくるものだと感じる。今現時点で下した意思決定が、結果として顕れるまでに、タイムラグがある。

 

12月1月2月の自分はこう考えた。

1.収穫逓増のモデルにチェンジするために必要な条件を整え、そのモデル自体が損益分岐するまで、労働集約的な、線形的なビジネスでキャッシュフローを回すという形に切り替える。

2.いくつかの事業の箱を用意して、そのそれぞれのビジネスモデルを組み合わせることで、リスクを下げていく。

3.ストックビジネスで底堅く利益を生み出し、余剰利益でCCCをマイナスにし、経営を安定させた上で、大胆な投資を繰り広げていく。

こういったプランニングがいったんの実現性を以って結実しそうな渦中に到達した。

 

4月から6月にかけて、おそらくオペレーションを作りに行っている。それは残論点だった。3Qも、オペレーションの確立を目指している。

考え切った後の残論点は採用のみとなる。採用・分業体制・育成基盤・代謝
考え抜いたかどうかは今自分達が解いているお題が結局なんなのかということを見ればわかる。今の自分達は、「システマティックに生産体制が確立されているかどうか」を確認している。

結果としてそれは順調に推移しているように思う。ただ、問いは前に進んでも、売上に跳ね返ってこないことを不安に思う。

 

採用全般をよりうまくいかせるための変数があるとしたら、
求人方法×職務要件×採用基準×オンボーディング×オペレーションの簡素化
この5要素が必要になる。どれか一つでもマイナスを作ってしまうと、途端にうまくいかない歯車のようで、大変だ。残る要素はこうなる。

求人方法
職務要件
採用基準
オンボーディング
オペレーションの簡素化

 

考えてみれば自分は、アジェンダメイキング・アジェンダセッティングさえ終わってしまえば、順風満帆に進んでいくのだと思っていた。そんなはずはなくって、結局のところ自分がケツモチとして、そのアジェンダ設定から各論にまでブレイクダウンをして、そのそれぞれの細かい要件を決めていかないと、なんにも前に進まないことを知った。

未知や未経験に対して、答えを出す仕事を担う人材は、自分以外に存在していないと思った方が良い。各論を握るべきだ。そしてそれは物凄い希少性のある力ということをもっと自覚したほうが良い。当たり前の基準にしてしまった瞬間、なにも動かなくなる。

 

 

また、いくつかの構築した仮説が結実したタイミングであった。自分達の施策によってあるサイトの重要KWの検索結果1位を確立したり、SEO経由でのCV数を増やすことによって、O2O的な結果が得られたり、手応えを掴んで行った。

また、営業手法も更なる磨き込みをし、ビジネスモデルも併せてアポイント獲得に困ることは無くなってきた。小さな実績が積み上がることによって、引っ張りだこになっていく感覚がある。今はまさに、弊社争奪戦なのだ。

おかげさまで、取引先の規模がどんどん大きくなっていっている。それはさまざまな要因があるが、特に自分がいい判断だったと明確に言い切れるのは、「稟議制度に対するそもそも論と、それに対する営業方法の考えを磨く」ということだった。

今までの自分達は「決裁者にいかにはやく繋がるか」という点を重視していたが、それは「キャッシュフローを作るために短期でみると仕方ない」というのが前提としてあったが、
「一旦キャッシュフローが確立してしまった今、重要なのは受注リードタイムではない」という判断から、「決裁者にリーチできないのであれば稟議をいかに登っていくかを考えるべき」と決めた。これが功を奏した。

 

具体的なことはかけないけど、なにかうまくいく秘訣があるとしたら、それは永遠に「相手の状況をどこまで想像し切ったか」に尽きる。それはマーケティング的とも言えるし、営業的とも言える。とにかく、会社の業績を思うなら、営業的要素とマーケティング的要素とデザイン的要素は、すべて一つの基盤に集結する。それを習得する必要がある。自分がプロダクトアウト的な発想や、プロダクト型のビジネスに対してアンチな理由は、この一点にある。そして、その内面的課題もよく理解している。「自分達がいいと思っているものは、認められるに違いない」という驕りだ。そういうのは早々に諦めたほうが良いだろう。

 

 

全ての職能に対して「当初想定していたこととは異なるが、結果としてよくなっている」という意思決定を続けてきた。ファインプレーだったと思う。その結果として短期的な収益や実績は置き去りにしてしまったが、結果として得ている収穫逓増型のビジネスモデルに対するスイッチングは、ようやく始めることができそうだ。もちろん、そう簡単にうまくいくだなんてまるで思っていないし、始まってからが大変なこともよくわかっている。だけど、今までに比べたら、もっともっと簡単に、前に進んでいくんだろう。

 

ゼロから1を生み出していく過程と、この育ってきたイチがサンになり、10にする過程、10になってから30、40、50にする過程、そのそれぞれは本当に考え方が異なる。

 

その異なる考え方を一人の人間が補っていくというのは不可能ではないが、実現性は低い。また、10を100にする人間、100を101にする人間、それぞれの気性や価値観や性格はまるで違う。未知や曖昧さに対する耐性がある人間は、ものすごく希少だ。もはやそれはいないものとしたほうがいい。社長だけが、唯一その耐性を持っていると考えたほうが、うまくいく確度は上がるだろう。ただ、ゼロイチができる人間はその後のアジェンダもこなすことができる。考え方に応用が効くからだと思う。この根本的な資質は、おそらく後天的に育成できないものだと思った方が良いだろう。あるいは、そういうことができる人間のそばに張り付いて、真似することならできるかもしれない。

 

 

日本社会にゼロイチな環境がほとんど存在していない。ものすごく綿密な仮説と、思考実験と、実践結果、膨大な試行錯誤を乗り越えるメンタリティを、この社会は必要としていない。むしろ、そういう才覚を潰すようにシステムされていると考えた方が妥当だろう。

 

社会は、平準的な人々に最適化されて生きやすくなっている。そのことを思えば、生きにくさの正体が掴めるかもしれない。反逆者であろうが、海賊であろうが、そうした批判を受けてしまうことを恐れてはいけない。

 

 

なんとなく今の自分は、この日本社会でどうやったら新規事業が成立するのかを学習してしまったような感覚がある。何が必要で、何が不要なのか。誰が必要で、誰が不要なのか。何を考えるべきなのか。どのように進めるべきなのか。

 

上半期に得たものを、ビジネスモデル以外の形で語り得るとしたら、「再現性のある新規事業開発のエッセンスを学習してしまった」と言えるかもしれない。それが本当なのかどうかについてはよくわからないけど、たとえばサイバーエージェントや、ラクスルが新規事業を何本も確立していったことと、今自分が思っている確らしさは相当に似ていると思う。

 

また、収益性の高いビジネスモデルを構築してしまうと、利益額で単純な比較をしなくなってしまったり、そのビジネスがどれくらいの純利を生み出しているかだけで判断してしまい、オセロの四隅的要素のように、伏線的必要性を忘れてしまうことがある。自分も、創業当初から考えてきた資金繰りの計画と、現在考える資金繰りの観点がまるで異なることに困惑している。この複雑性が低く、一つの確立した考え方に従っていれば、事業は横展開可能であるという幻想から自立していくことが求められていると実感する。

 

多少時間がかかっても、その後の非連続な成長を思えば、ここでの足踏みは許容すべきだという決断も、結局すべて自分の判断に依る。会社の安定性がまだまだ確立していない中でとるべきリスクではないならば、急成長を追うことでかえって成長できなくなってしまうならば、それは避けるべきだ。

 

うまくいっていることと、うまくいかないこと、将来的なトップラインを期待させるイベントと、そういうものが指数関数的に積み上がって、複雑な状況が続いている。

今自分はなんのアジェンダに向き合い、外さない決定をするにはどうしたらいいのか。どれくらいの支出までならしてよくて、どこまではしてはいけないのかを考えたりとか、そういうことをしているうちに時間切れになってしまう。各論を見に行かないと事業は前に進まない。ならば、空中のことを一旦放置する勇気が必要になるのかもしれない。

 

ただとにかく言えることは、1月開始時点と、7月開始時点を比べると、それはそれで会社の進歩を感じる。自分達はまだ3期目で、今の事業でマネタイズが始まったのは2期目の3月で、それを思えば、十分なスピードが出ているのかもしれないし、多分それは実際としてはそうなんだと思う。営業活動で得られる確かな手応えが物凄いインパクトとして跳ね返ってくるのは、時間の問題なんだって思いたい。

 

 

 

 

「僕たちが欲しいのは確かに目先のキャッシュではありますが、今日こうして来た理由であるとは思いません。10年20年先の御社との関係を、自分達は今一番必要としています。だから、提案とかそういうのがないんです。東京バナナならあります。もし今なにかあるとしたら、そういうのは全部やる前提でどうやるかを考えたらいいでしょう。」

 

 

ジョイントアカウントだとか、シンジゲートローンだとか、貴賓室や接待用の会食スペースだとか、みなと銀行とか、クライアントからのお墨付きとか、かきたいことはいっぱいあるけど、とにかく、6月は本当に大変だった。。。